がん就労を考える会
がん就労を考える会
名古屋における 医療と労働をつなぐ
多職種連携の試み
「がん就労を考える会」について
「がん就労を考える会」は、2015年に有志で設立した名古屋の団体です。
がん患者・経験者の就労問題に関する情報の共有、知識の交換、研究発表等を行うことにより、臨床並びに産業保健、その他関連領域との連携を図り、地域に根ざしたネットワークを形成し、がん患者・経験者に対する就労支援・両立支援の発展に寄与することを目的としています。
代表世話人あいさつ
愛知県がんセンター中央病院 副院長兼乳腺科部長
岩田広治
2006年にがん対策基本法が制定されてから早や10年が経過し、がん治療の進歩は目覚ましく、均てん化も進み、治療後も社会で活躍できる人が増えてきました。一方で、通院のため退職を余儀なくされるケースも増えるなど、新たな課題も浮き彫りになり、2016年12月に基本法の改正法が可決したことは、ご存知の通りです。
改正法の基本理念として、がん患者が尊厳を保持しながら安心して暮らすことのできる社会の構築を目指すことを掲げ、がん患者への国民の理解が深まるようにすることを求めました。今回新たに、企業側の「事業主の責務」を設け、働く人ががんになっても雇用を継続できるよう配慮することを明記しました。また国や地方公共団体にも、事業主に対してがん患者の就労に関する啓発・知識の普及へ必要な施策を講じるよう定めています。
しかし、がん経験者の就労支援は院内或いは企業内のみで完結できる内容ではなく、医療機関・企業・行政の協力・連携が不可欠です。東海地区ではこのような問題意識を共有するメンバーが集まり、2014年に“がん就労を考える会”を立ち上げました。2015年10月に第1回を、2016年10月に第2回を、2017年6月に第3回を開催してきました。社会の関心の高まりと共に参加人数は毎回増加し、第3回では250人(半数ががん治療関係者、半数が企業関係者)を超える方に集まっていただきました。
“がん就労を考える会”は、がん患者・経験者の就労問題に関する情報の共有、知識の交換、研究発表等を行うことにより、がん患者・経験者の就労支援に関する連携を図り、地域に根ざした就労支援ネットワークを形成し、がん患者・経験者に対する就労支援の発展に寄与することを目的としています。
がん治療と就労の両立支援は地域社会の問題です。がん治療医、産業医、看護師、保健師(企業)、社会保険労務士、ソーシャルワーカー、キャリアカウンセラー、産業保健センター、行政担当者、企業の人事担当者など、幅広い職種の方に集まっていただいて、意見交換をしながら、最良な両立支援の体制を地域で作っていきたいと思います。